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2005年08月13日
★絶賛! 「天使のナイフ / 薬丸岳」
今年度の江戸川乱歩賞受賞作――「天使のナイフ/薬丸岳著」を読みました。感想/書評など書きたいと思います。
少年によって妻を殺害された主人公の桧山が、幼い娘を抱えながら事件の真相と、少年法によって守られる加害者、そして同法によってさらに傷つき激しい慟哭に咽ぶ家族の問い掛けに迫っていく、骨太の社会派ミステリーです。
死刑制度の題材を盛り込んだ「13階段」を読んで感動した作者が、小説のテーマに選んだのは「少年法」。
主人公が私と同世代で、幼い子供を抱えながらも懸命に生きている姿は非常に共感が持てたし、妻の死に、それこそ「心が徐々に壊死していくのを感じながら」日々生きていかなければならない姿に、被害者家族の凄まじい葛藤を読むことができました。
内容については詳しく触れませんが、江戸川乱歩賞受賞作としては、「テロリストのパラソル」や「13階段」と匹敵するほどベストセラーになるのでは、と思えるほどエンターティメント小説としても秀逸の出来です。
物語の前半は、被害者家族として当然与えられるべく権利が現行の法のもとでは認められないもどかしさが、あらゆる角度で描かれ、読んでいて悲しくなってくるのですが、後半になると「事件の複雑度」が加速度的に増すとともに、この少年犯罪の被害者家族、加害者家族、マスコミ、弁護士、そして少年犯罪を犯した本人たち……からの言葉によって、桧山が抱き続けてきた疑問にあるひとつの答えを導こうと物語が進展していきます。
そして事件の真相がきわめて意外な形で明らかになったとき、桧山の心にある決意が生まれ、物語は終わります。
ミステリー小説としての出来も素晴らしかったと思います。
大抵の場合、私は途中で犯人を見ぬいてしまうのですが、(「テロリストのパラソル」も「13階段」も、途中で犯人の見当がつきました)今回はわかりませんでした。
最後、複雑に絡み合った糸がスーッと解けていく、とはまさにこのことです。
また、憎まれ役を演じていた人物が、実は「いい奴だった」、実は「主人公と同様の苦しみに苛まされ続けていた」ということが後半にわかってくると、読後感はよく、重い題材を扱った物語の中に、ほんの小さな光を灯します。
ただ、乱歩賞作品である以上、仕方のないことですが、やはり550枚は少なかった気がしました。これだけのテーマを扱ったのですから、「永遠の仔」とまではいかなくても、800枚や1000枚ぐらいの作品として世に出ていれば、もっと深みを帯びたいい作品になっていたと思います。
今後も間違いなく、この作家は活躍されるでしょう。注目していきたいです。
次に乱歩賞をめざす私にとっては、いい刺激となりました。
私が描く世界は、福井晴敏のTwelve Y.O.のように「いかにも乱歩賞的ではない作品」に仕上がるでしょうが、とにかく納得のいくレベルで、うまく550枚以内にまとめていきたい。そんな風に考えています。
2006年江戸川乱歩賞をめざすblog(ブログ)-[ランキング確認]

- 薬丸 岳
- 天使のナイフ
少年によって妻を殺害された主人公の桧山が、幼い娘を抱えながら事件の真相と、少年法によって守られる加害者、そして同法によってさらに傷つき激しい慟哭に咽ぶ家族の問い掛けに迫っていく、骨太の社会派ミステリーです。
死刑制度の題材を盛り込んだ「13階段」を読んで感動した作者が、小説のテーマに選んだのは「少年法」。
主人公が私と同世代で、幼い子供を抱えながらも懸命に生きている姿は非常に共感が持てたし、妻の死に、それこそ「心が徐々に壊死していくのを感じながら」日々生きていかなければならない姿に、被害者家族の凄まじい葛藤を読むことができました。
内容については詳しく触れませんが、江戸川乱歩賞受賞作としては、「テロリストのパラソル」や「13階段」と匹敵するほどベストセラーになるのでは、と思えるほどエンターティメント小説としても秀逸の出来です。
物語の前半は、被害者家族として当然与えられるべく権利が現行の法のもとでは認められないもどかしさが、あらゆる角度で描かれ、読んでいて悲しくなってくるのですが、後半になると「事件の複雑度」が加速度的に増すとともに、この少年犯罪の被害者家族、加害者家族、マスコミ、弁護士、そして少年犯罪を犯した本人たち……からの言葉によって、桧山が抱き続けてきた疑問にあるひとつの答えを導こうと物語が進展していきます。
そして事件の真相がきわめて意外な形で明らかになったとき、桧山の心にある決意が生まれ、物語は終わります。
ミステリー小説としての出来も素晴らしかったと思います。
大抵の場合、私は途中で犯人を見ぬいてしまうのですが、(「テロリストのパラソル」も「13階段」も、途中で犯人の見当がつきました)今回はわかりませんでした。
最後、複雑に絡み合った糸がスーッと解けていく、とはまさにこのことです。
また、憎まれ役を演じていた人物が、実は「いい奴だった」、実は「主人公と同様の苦しみに苛まされ続けていた」ということが後半にわかってくると、読後感はよく、重い題材を扱った物語の中に、ほんの小さな光を灯します。
ただ、乱歩賞作品である以上、仕方のないことですが、やはり550枚は少なかった気がしました。これだけのテーマを扱ったのですから、「永遠の仔」とまではいかなくても、800枚や1000枚ぐらいの作品として世に出ていれば、もっと深みを帯びたいい作品になっていたと思います。
今後も間違いなく、この作家は活躍されるでしょう。注目していきたいです。
次に乱歩賞をめざす私にとっては、いい刺激となりました。
私が描く世界は、福井晴敏のTwelve Y.O.のように「いかにも乱歩賞的ではない作品」に仕上がるでしょうが、とにかく納得のいくレベルで、うまく550枚以内にまとめていきたい。そんな風に考えています。
Posted by rampo2006 at 06:47