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2005年05月09日

★人気作家10人が教える新人賞の極意

昨日、久しぶりに行った紀伊国屋書店で「新人賞の極意」という本を見つけたので、衝動買いした。


発刊から3年ほどたっているようで、情報は新しくない。が、
乱歩賞など新人賞受賞後の編集者の対応や、受賞パーティでのエピソード、その後の発刊ペースなどについてもいくつか紹介があり、興味深く読んだ。



著者: 友清 哲

タイトル: 人気作家10人が教える新人賞の極意


主に本書は、貴志祐介さんや高野和明さん、乙一さんなど、人気作家の「受賞までの苦労話とサクセスストーリー」で構成されている。貴志祐介さんは、会社を辞めて七年間アルバイトもせずに投稿生活をつづけたというし、高野和明さんは渡米して脚本を勉強したという。彼らの執筆姿勢を見習えば、受賞までの道のりが少しでも短くなるかもしれないと、本書の帯にはうたってある。

なるほどなぁ、と思わされた。そういう面もあるかもしれない。


ビジネスの世界でも、「成功者の体験談」的書籍は次から次へと出版されている。トヨタ、松下、キヤノン、京セラといった企業の、著名な社長が書けば、たとえ自社にあてはまらないとわかってはいても、「朝礼の小話ネタ」のために、こぞって買いに走る人は多い。

しかし、しょせん成功者は成功者における物語があり、その物語が誰彼問わず当てはまることはない。


アートの世界なら特にそうだ。


たとえば高野和明さんは、「13階段」の執筆をはじめたのが、12月の頭からだ、という。乱歩賞の〆切が1月末だから、実質執筆に費やした期間が2ヶ月もなかった計算になる。

以前から「死刑制度」については見識があったというが、それにしてもたった2ヶ月であれだけの作品が書けてしまうものだろうか。
正直、驚いた。


さらに乙一さんにいたっては、16歳の夏休みに、一週間部屋に閉じこもって書き上げた処女作が受賞してしまったという。

当のご本人は、原稿を投函してから「あんな稚拙な小説、はやく忘れたい」と思ったそうだが、それが受賞してしまい、その若さゆえに脚光を浴びた。

他の方の体験談もだいたい同じ。「勢いで書いたものが、まさか受賞するなんて思いもしませんでした」とか書いてある。――こんな成功事例が、参考になってたまるか。 (-_-メ)



「これから新人賞をめざす人に、受賞のコツを教えてください」と問われても、

「人より一行でも多く書き、人より一冊でも多く本を読むことです」

なんて書いてあったりする。


高野和明さんが「受賞するまでに脚本を含めて、1万枚ぐらいは書いてます」なんて告白していたが、私だって(駄作ばかりだが)1万枚ぐらいは軽く書いてますわ。それでも受賞できないんだからしょうがないでしょ。

当たり前のことだけれど、本をたくさん読めばいいわけでもなければ、一行でも多く文章を書いて練習すればいいってもんじゃない。

何を読んでどのように理解して、偉大なる先人たちの技術を盗むために意識するか――それが重要であり、その技術を「意識しながら書く」ことが最低限、必要なことだ。

それなのにダラダラ読んで、黙々と書写して、どばーどばーっと拙い文章を書き並べたって意味がない。

これはもう、私の実体験からくるものだ。意味のないことを、あたかも意味があるものだと信じ込んでつづけても意味がないんだからしょうがないのだ。(苦笑)


成功者たちは無意識に「意味のあること」をやっているが、なぜ自分が「成功しちゃった」のか分析できていないのだから、それをうまく言葉で説明できないでいる。

だから巷にあふれかえる「小説指南書」は、きわめて属人的で参考にならないものばかりなのだ。


私は私のやり方で乱歩賞をとりにいく。

才能がない人間が、仕事と育児とボランティア活動をしながら「江戸川乱歩賞」をとったら、それはそれでなかなかいいじゃないか。そのほうが、よっぽど共感されるだろうし、ニュースになる。

(なんてね)





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Posted by rampo2006 at 12:34
この記事へのトラックバック
 僕が毎日見ているブログに2006年江戸川乱歩賞をめざすblogというブログがあります。このブログのじゅんさん(友達みたいで馴れ馴れしいですが、プロフィールに「じゅん」としか書いてないので、他に呼びようがないのです)は過去に文学賞の受賞歴が四度もある実力者です。
乱歩賞受賞なるか!【野球と本の日記】at 2005年05月09日 16:37
この記事へのコメント
 初めまして。いつも見ています。
 成功者の言葉って確かに当てにならないんですよね。僕は、九月くらいから受験勉強始めて第一志望に落ちたんで、OBとして高校のクラブに行ったりした時、「夏休み前から本気で勉強した方がいいぞ」って言うんですけど、多分受かってたら「九月からで充分」って言ってるんやろうなって思います(笑)。
 応援してます。TBさせてもらいました。
Posted by SN at 2005年05月09日 16:53
こんばんは。
コメント、有難う御座いました。
リンクの件、こちらこそよろしくお願いします。
当方もリンクさせていただきます。
江戸川乱歩賞 受賞されますよう心からお祈り申し上げます。

(ちょっと平凡な書き込みでした。次回はもっと砕けたものにします)
Posted by novel of the darkness at 2005年05月09日 23:48
こんばんは。
じゅんさんが小説指南書についておっしゃっている事を読んで、確かにそうだなぁと気付かせてもらえた部分が多かったです。
私は単に「成功者の言う事を聞くのは悔しいから」という理由で避けて来ただけだったのですが・・・きちんと分析して考えなければならないなと思いました。

毎回、とても勉強になります。
では更新を楽しみにしています!
Posted by 愁子 at 2005年05月10日 00:17
SNさん、あなたのブログに書かれている記事を読みました。こういう記事を書かれるのが、私にとって一番うれしいことです。本当にありがとうございました。そして身が引き締まる思いをしました。これからも応援よろしくお願いしますね。
Posted by じゅん at 2005年05月10日 12:14
novel of the darknessさん
コメントありがとうございました。お互い人気の高い賞をめざすわけですから、心してかからねばなりませんね。
リンクありがとうございました。
Posted by じゅん at 2005年05月10日 12:19
愁子さん、いつもコメントありがとうございます。
学べるところとそうでないところがありますから、指南書が参考になるかどうかは難しいところですね。
でも、執筆が行き詰って悶々としているときに読むと結構気分転換できます。(笑)
Posted by じゅん at 2005年05月10日 12:37